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by majilife

自爆テロ、利用される人、利用する背景

こういう記事は残しておきたいものだ。

利用された女性、しかし、利用されたという事自体が免罪符とはならない。

利用されて自爆に成功していたら、やはり悲劇は起こっていたのだから。

自分の悲劇を拡大再生産する事を正当化する事なんて出来ない。

<自爆テロ>失敗した女性、哀しい結末 パレスチナ [ 07月19日 11時45分 ]


 死ねなかった自爆テロリスト。ヒロインに祭り上げられた。その姿は、あまりに哀(かな)しい。





 パレスチナの女性、ワファ・アルビス容疑者(21)は先月20日昼前、イスラエル領との境界にあるエレズ検問所に現れた。通行許可証は持っていた。やけどの治療のため、イスラエルの病院へ通っていたからだ。だが、幾重もの鉄さくを隔ててビデオカメラで監視していた治安要員は、彼女の前後で鉄さくを閉じる。スピーカーを通じて、服を脱ぐように命じた。

 その時のビデオが、イスラエル軍から公開された。無声のビデオは、スカーフやコート、さらに上着まで脱いだ女性が、白いTシャツ姿で抗議する様子を映し出す。両腕やのど元は、やけどで赤黒く変色。シャツをめくり、同様に変色した腹部をさらけ出した時、女性の顔から表情が消えた。右手が、すっとズボンのポケットに入った。

 歯を食いしばって何かもぞもぞといじった後、黒いコード状の物を勢いよく引き抜く。二重のズボンの下に隠された10キロもの爆薬の起爆装置。不発だった。もう一度操作するが結果は同じ。爆弾を隠し持っていることを見破られたアルビス容疑者は、その場での自爆に失敗し、手で顔を覆って泣き叫んだ。「死なせて」と、絶望的な叫びが聞こえるようだった。

   ■   ■

 イスラエルは、アルビス容疑者の逮捕を宣伝戦で最大限に利用する。自爆テロの標的は彼女の命を救った病院だったと発表し、逮捕から数時間後に異例の直接インタビューまで設定した。

 「できるだけ多くのユダヤ人を殺したかった。子どもが死んでも構わない。パレスチナの子どもだって死んでいる」「殉教者として死にたかった」。最初に面会した地元メディアに、アルビス容疑者は気丈に答えた。

 だが、その後、外国人記者協会の代表取材には全く違う顔を見せる。「私は誰も殺していません。イスラエルは私を許してくれると思いますか?」。声はか細く震え、涙を流し、許しを求めた。

 私はあまりに異なる二つの顔に当惑し、彼女が生まれ育ったイスラエル占領下のガザ地区北部ジャバリヤ難民キャンプを訪ねた。

 小さな商店を営むアルビス容疑者の父親は事件後、取材を拒否し、沈黙を守っていた。「大事な娘を死地に送り込まれ、怒りを感じない父親はいない。でも、パレスチナでは、今やアルビスは『抵抗のヒロイン』に祭り上げられている。父親は怒りを吐き出すことさえできない」。匿名を条件に親族の一人は語った。

 敬けんなイスラム教徒の彼女は、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの青年組織に属していた。イスラエル軍の侵攻にさらされてきたこの地区は、反イスラエル感情がことのほか強い。自爆志願の背景に、過酷な占領下で培われた怒りや憎しみがあったことは容易に想像できる。

 だが、親族は「転機は6カ月前の悲惨な事故にある」と指摘する。明るく社交的だった彼女は、昨年12月に自宅で起きたガス爆発事故で全身に大やけどを負って以来、別人のようになってしまったという。一命は取り留めたものの、無残な傷跡を隠すように人と会うことを避け、寂しく物思いにふける日が続いた。

 「痛ましい現実からの逃避を願う彼女にとって、英雄的で愛国的な仮面こそが、願いをかなえる最良の道に思えたのでしょう」。親族は言う。

 自爆攻撃を計画したのはファタハ系武装集団の中でも、最も戦闘的なグループだった。取材を申し込むと、アルビス容疑者の家から数十メートルの隠れ家に呼び出された。屈強な男たちが8人、自動小銃や手りゅう弾を手に待ち構えていた。

 「誰も彼女に自爆を強いていない。彼女自身が望み、我々はそれを支援した」。アブ・ナシームと名乗る現場司令官は言った。「警戒網を突破しやすい」から、女性を送り込んだという。ただ、テロの標的については「病院近くのイスラエル軍基地だった」と反論。「イスラム教は子どもや病人を傷付けることを禁じている。我々の解放闘争をおとしめるための宣伝だ」と語気を強めた。

 不幸な全身やけどで人生の歯車を狂わせた女は、パレスチナ解放のためには手段を選ばない過激派組織にその傷跡を利用され、その揚げ句にイスラエルの宣伝作戦にも使われたことになる。「抵抗のヒロイン」の実像は、あまりに哀れで悲しかった。【エルサレム樋口直樹】

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by majilife | 2005-07-24 08:32